インサレーションの基礎知識

1.ダウンインサレーション

ダウンとは、アヒルやガチョウなどの水鳥の丈夫なフェザー(外側の羽毛)の下にある、ふわふわとした毛の塊です。ダウンの本来の役割は、外気の寒さや水の冷たさから鳥の身体を守ることであり、それらは私たち人間にとっても優れた断熱材となり得ます。

ダウンインサレーションとはこのダウンとフェザーを組み合わせた断熱材(またはそれを採用した製品)のことで、私たちはブランド創立以来、ダウンインサレーションによる軽くて非常に暖かい、高機能で高品質な防寒ジャケットや寝袋といった山岳向けギアを開発してきました。

ダウンが断熱材として優れている理由

ダウンは非常に細かい繊維でできており、空気を閉じ込めて対流を防ぎ、所定の位置に保持する最も軽量かつ効率的な手段を提供します。

この閉じ込められた空気は、驚くほど効率的な断熱バリアを提供します。その重量当たりの断熱性の高さは、どんな天然素材や合成素材もかないません。個々のバッフル(小部屋)に閉じ込められたダウンは目いっぱい膨張し、スペース全体をほぼ完全に閉じ込められた動かない空気(デッドエア)で満たします。そしてダウンを詰めたギアは、収納する際には驚くほど小さく圧縮されます。 

ダウン中綿のフィルパワー(FP)とは?

フィルパワー(FP)とは、ダウンの量ではなく質を表す指標の一種です。フィルパワーの高いダウンは、重量に対してより多くの空気を閉じ込め、より高い復元力(膨らみやすさ)を備えています。このため高いフィルパワーを備えたダウンは、軽さを優先させたいアクティビティや、軽さと保温性の両方が重要となるより過酷な環境やハードなアクティビティに適しているといえます。

Rabのダウンジャケットには、それぞれの用途に合わせて戦略的に選ばれたさまざまなフィルパワーのダウンを使用しています。フィルパワーとそれがダウンジャケットの保温性と軽量性に及ぼす影響についてご紹介します。 

ダウンフィルパワーとは?(英語)

ダウン(クラスター)比率

ダウン(クラスター)比率とは、ダウン中綿に含まれているダウンとフェザーの混合量の割合です。

Rabのダックダウンギアはクラスター比が「80:20」で、フェザー含有量は最大 20% です。一方グースダウン製品は、「90:10」という高い比率で、最低でも90%以上のダウンを含有しています。

フェザーはダウンよりも重く、一般的にダウンに比べてより丈夫で硬く弾力性に富むという性質があり、形状を維持してくれる効果があります。つまり、ダウンの割合が高いほど、重量あたりの保温性が高くなり、フェザーは全体のボリュームを補助する役割を担っています。

RDS認証(Responsible down standard)とは?

Rabは、コントロールユニオン(ライセンス番号:CB-CUC-839597)によるRDS認証(Responsible Down Standard)を取得しています。RDS認証とは、ダウンとフェザーが動物福祉の要件を満たしているかを独自に認証し、農場から最終製品に至るまでの追跡調査を行っています。

ダウンジャケットを濡れや湿気から守るには?

圧倒的な軽さと断熱性を誇るダウン中綿ですが、一般的にダウンは湿気を帯びたり濡れてしまうと復元力がなくなり、保温性が失われてしまうという弱点があります。

このためダウン中綿をあらゆる状況で機能させるには、中綿を水分からできる限り遠ざけなければなりません。その方法は以下の2通りがあります。

  • 防水性のあるシェル生地と組み合わせる

    ダウンを封入したジャケットのシェル生地を防水性のあるものにすることで、ダウンの濡れを防ぐことができます。ただし、この場合、どうしても重量とかさばりが増してしまうため、ダウンのメリットである軽量コンパクト性が最大限活かされなくなってしまいます。このためあらゆるケースにおいてこの方法が適切であるわけではありません。

    Rabではダウンジャケットに防水シェルを組み合わせる必要があるかどうかを念入りに吟味し、その意義が見いだせるものに限って防水性のある生地を採用しています。

  • 撥水処理を施した「疎水性ダウン」を使う

    ダウンは水鳥が生み出す天然繊維なので、基本的にはある程度の撥水性を持っています。

    しかし、そうはいっても時間が経つにつれて、または非常に湿度の高い環境では、ダウンの優れた働きをする微細繊維に湿気が過剰に加わり、繊維同士がくっついてダウンの断熱性が損なわれてしまいます。

    そこで、ダウン自体に新たに撥水加工を施すことで、湿気の多い環境でもダウンの嵩高性と断熱性を維持することができます。

    その仕組みについて以下の動画をご覧ください。

疎水性ダウンとは?(英語)

Rabの900フィルパワー以下のダウンはすべて撥水加工が施されており、湿った状態でもロフトを維持します。これによりダウンジャケットが防水になるわけではありませんが、濡れた場合でも乾きが早くなり、保温性が向上します。また、外側のシェル生地にはDWR(耐久性撥水)加工を施し、小雨、みぞれ、雪を弾きます。 

ダウンジャケットにスプレーをかけて防水にすることはできますか?

端的に答えるとするならば、NOです。

防水ジャケットは、生地の裏、または記事と生地の間に挟まれたメンブレン(またはPUコーティング)を使用することで防水機能を実現しています。例えば当社の製品には、 GORE-TEX、Pertex®、Proflex™といったメンブレンを使用しています。また完全な防水性を実現するには、縫い目にもシームテープ処理を施す必要があります。このためダウンジャケットに防水剤をスプレーしただけでは、生地に DWR (耐久性撥水) コーティングの別の層が塗布されるだけです。

2.化繊インサレーション

化繊インサレーションとは?

化繊インサレーションとは完全に人工的に作られた断熱(中綿)素材です。通常はポリエステルを原料とし、シート状の詰め物、またはダウンと非常によく似た性質を持つロフト構造(吹き込み構造)を形成します。異なる太さの繊維が絡み合うことで空気層が形成され、寒さから体を守ります。 

化繊インサレーションが断熱材として優れている点は?

化繊インサレーションは耐久性、軽量性、そして弾力性に優れています。ダウンに比べて速乾性があり、湿気の多い環境でも効果を発揮するため、寒冷で湿気の多いタフな環境に適しています。

一般的に化繊インサレーションには3種類あり、それぞれに独自の利点があります。

  • 静的シート状インサレーション

    静的シート状インサレーションは、熱を閉じ込めて反射するマイクロファイバー構造を備えたシート状の断熱材です。露出したビレイポイントなど、動きが制限される状況でも確実な断熱効果を発揮します。保護性と汎用性に優れ、圧縮にも強く、濡れても暖かさを保ちます。

  • 嵩高性に優れたインサレーション

    このタイプのインサレーションはブロー断熱材とも呼ばれ、ダウンのような見た目、感触、性能を持ちながら、より軽量で耐候性の高いバッフル状の合成断熱材です。シート断熱材とは異なり、繊維内に空気を閉じ込めることでダウンのような外観を再現し、保温性を高めます。

  • アクティブインサレーション

    アクティブインサレーションは、通気性に優れた素材と組み合わせることができるため、ストップ&スタートを繰り返すアクティビティや、急な坂道での急登に特に適しています。さまざまな状況下で、保温性や通気性を確保し、体温調節を行うよう設計されています。

ダウンインサレーションと化繊インサレーション、どちらを選ぶべきでしょうか?

ダウンと化繊のインサレーションには多くの共通点がありますが、お互いに異なる長所・短所も持ち合わせています。 

では、自分にとってダウンと化繊の中綿、どちらがより適しているのか?それを考える時には、自分が行うアクティビティや、季節や場所などによって遭遇する可能性のある環境、そして自分の体型や経験によって異なります。 

ダウンインサレーションを選ぶメリット

比類なき軽量性と保温性

ダウンはロフト機能により、繊維内に暖かい空気を閉じ込め、最小限の重量で優れた断熱性を発揮します。その軽量性と保温性は、他のどの断熱材にも匹敵しません。 

コンパクトに収納でき、コンパクトに収納

ダウンは軽くて通気性に優れているため、ダウンジャケットは簡単に圧縮してスタッフサックに収納でき、バックパックの中で場所を取りません。 

長持ち

ダウンは他の断熱材とは異なり、劣化がほとんどなく、長年にわたって優れた性能を発揮し続けます。ダウンジャケットを丁寧にお手入れすれば、一生使い続けることができます。

化繊インサレーションを選ぶメリット

湿気に最も強い

合成繊維の断熱材は、濡れた状態でも乾燥時の約80~95%の性能を発揮します。そのため、寒く湿度の高いスコットランドの冬など、湿気の多い環境での使用に最適です。防水性はなく、濡れる可能性はありますが、ダウンジャケットを着ているよりもはるかに暖かく過ごせます。 

速乾性

合成繊維の断熱材はお手入れが簡単で、ダウンよりもはるかに早く乾きます。 

弾力性

万が一ジャケットが引っかかったり破れたりしても、その構造上、合成繊維の断熱材の損失が少なくなります。合成繊維のシート状断熱材はしっかりと固定され、詰め物(ルーズフィル)は重量があるため、ダウンよりも断熱材の熱が逃げにくくなります。つまり、修理に出すまで暖かさが持続します。