防水ジャケット・パンツのメンテナンス方法

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防水ジャケット・パンツのメンテナンス方法
防水ジャケット・パンツのメンテナンス方法

山に何度か行くうちに、いつしか防水ウェアが購入したときよりも効果を発揮しなくなっているように感じることがあります。

その大きな原因のひとつは、これまで生地の表面で弾かれていた水滴が、時間の経過とともにDWR(耐久撥水加工)コーティングによる撥水力が低下したことで表面にべったりと張り付いて「濡れた」ように見えてしまうからです。

そうなってくると、生地の表層に水が浸透してしまい、衣服の内側からの水分の放出が妨げられ、軽量性と透湿性に大きな影響を与えてしまい、ウェア本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます(雨の他にも汗、汚れ、日焼け止めクリームなども生地に染み込んでしまう可能性があります)。

このため、レインウェアやハードシェルといった防水ウェアのパフォーマンスを常に最高の状態に保つには、こまめなお手入れが重要です。

お手入れの重要性は、昨今のフッ素系素材を含まないDWR(耐久撥水加工)への移行によってより高まりました。

防水ジャケットやパンツを定期的に洗濯し、再び防水性能を回復させることでDWRを活性化させ、ギアの寿命を延ばすことができます。

ここではRabの防水ウェアをご自分で低温乾燥機能付きドラム式洗濯機を使って洗濯する方法と手順を解説します。

防水ジャケットやパンツの洗濯方法

防水ジャケットとパンツの洗濯方法(解説)

  1. 洗濯機を使用する前に、洗濯槽の中がきれいになっているかどうか確認し、必要であればすすぎを行ってください。こうすることで生地やコーティングを傷める可能性のある残留洗剤や柔軟剤を取り除いておくことができます。

 

  1. 次に洗濯前に衣類にキズや破れている個所がないか、またポケットが空であることを確認し、問題がなければジッパー、ポケット、面ファスナーなどをすべて閉じておきます。

  1. 衣類を洗濯機に入れます。洗濯に使用する洗剤は、一般的な中性洗剤でも構いませんが、より効果的に洗浄するためには、機能性アウトドア・ウェア専用の洗剤を使用することをおすすめします。

  1. 洗濯コースは弱水流設定で洗ってください。また防水ジャケットやパンツのほとんどは、30℃前後で洗うのが最適です。 

  1. 脱水も可能な限り低速で行った後、物干し竿に掛けて自然乾燥させます。

 

  1. 洗濯表示で乾燥機の使用が許可されている場合は、低温設定で20~30分タンブル乾燥してください。これにより、プルーファーが活性化されます。タンブル乾燥機がない場合は、中温でアイロンをかけてください。その際、アイロンと衣類の間に清潔な布巾(または同様のもの)を挟んでください。 

  1. 現場にいて洗濯機が使えない場合は、ジャケットを手洗いすることもできます。水は冷たく、中性洗剤を使用し、ジャケットをよくすすぎ、直射日光を避けて十分に乾燥させてください。

 

防水ジャケットとパンツの防水性をより高める方法 ~撥水性能の回復~

防水ジャケットやパンツの表地には、高い撥水力を長く持続させることを目的とした「DWR(耐久撥水加工)コーティング」が施されています。

DWRが施されることで、表面に付着した水滴は玉になって転がり落ち、生地に水が溜まることがなくなります。これによって防水透湿メンブレンは常に本来の透湿性を維持することができるのです。

これまでは、アウトドア業界に限らず、DWRに使用されてきた化学物質は、非常に耐久性が高い反面、自然界に放出されても容易には分解されませんでした。

これらは「フォーエバーケミカル」と呼ばれ、環境中に放出される量が増えるにつれて、野生生物や人体への生体蓄積が見られるようになりました。

これが環境にどのような影響を与えているかはまだ完全には解明されていませんが、かなり深刻な副作用があることが分かっています。

PFASフリーの DWR とは?

こうしたの環境に害を及ぼす可能性があると考えられるフッ素系素材(PFAS)の使用を減らし、可能な限り環境への害が少なく撥水性、通気性、耐久性を維持する方法のひとつが、PFASを含まない新しいDWR(耐久撥水加工)です。Rabでは段階的にすべての製品で、PFASフリーのDWRへと移行しています。

そしてDWRをPFASフリーの加工へと移行したことに伴い、ギアのお手入れ方法も変化しました。PFASを含まないDWRは、これまでよりもより定期的でこまめなメンテナンスが必要です。

最近の防水ジャケットやパンツを使用していて、表面が濡れて見えるのが昔に比べて早くなったことに気付いている人もいるかもしれません。

そうなってしまうと、生地の透湿性低下によって衣服内が蒸れやすく、ウェア本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

より頻繁な洗濯による汚れの除去と撥水力の回復は、このような事態になるのを防ぎ、ウェアをより長持ちさせるためにこれまで以上に重要となってきます。

防水パンツとジャケットの撥水性能を維持するためのヒント

防水ウェアの撥水力回復処理はいつ行うべきでしょうか?普段使っていて水滴の弾き方が弱くなってきたなと感じたら、その製品のDWR(耐久撥水加工)を復活させるタイミングです。市販の防水透湿ウェア用撥水剤などを使用して、耐久撥水加工を再度施します。 その際、以下の事柄にも注意しておくとより効果的です。

  • 洗濯と撥水力の回復:オールインワンソリューションとして、「Grangers 2イン1 ウォッシュ&リペル」などのテクニカルウォッシュ&プルーファーを使用すれば、洗濯と再プルーフを同時に行うことができます。その際は洗濯表示に従ってください。
  • 手洗い:防水パンツやジャケットを手洗いする場合は、スプレー式の撥水加工剤を使用すると簡単です。衣類がまだ湿っている間に、ボトルの指示に従って、外側の生地にスプレー式の撥水加工剤をスプレーしてください。 
  • タンブル乾燥機の使用:ケアラベルの製品ガイドラインで許されている場合、衣類をタンブル乾燥させることでより撥水力を回復させる可能性があります。 
  • アイロンの使用:タンブル乾燥機が利用できない場合は、タオルなどで当て布をした上で中温でアイロンをかけても同じように撥水力をより高められる可能性があります。
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